業務中や通勤中に労災事故に遭ったにもかかわらず、会社が労災の手続きをしてくれず、「自分の保険で治療を受けてください。」などと言われることがあります。
会社が労災の手続きをしてくれないと労災から治療費や休業損害などの支給を受けることができないのではと不安に思われるかとも多いと思います。
以下では、会社が労災の手続きをしてくれない場合の対応方法について見て行きたいと思います。
労災保険から治療費などの支給を受けるためには、労働基準監督署へ療養費などの支給請求を提出する必要があります。
当該請求書には、事業主証明欄が設けられており、原則的には、事業主証明欄へ事業主の署名がなされている請求書を提出する必要があります。
ただ、会社が事業主証明欄への署名に協力してくれない場合は、事業主証明欄に事業主の証明がなくとも、当該請求書に、事業主から証明をもらえなかった事情を述べた文書を添付すれば、労働基準監督署に請求書を提出可能です。
そのため、会社が労災の手続きに協力してくれない場合でも労災への治療費や休業損害の請求は可能です。
会社は、労災の手続き(事業主証明書欄への署名の協力など)に協力する義務を負っています。
そのため、会社が頑なに協力しない場合は、労働基準監督署に相談し、労働基準監督署から事業主に指導を行ってもあるえると会社の対応が変わることがあります。
労災の発生について会社に安全配慮義務違反が認められる場合などは、被災労働者は、会社に対し、労災からは支給されない慰謝料などの損害賠償請求を行えます。
労災事故について慰謝料などの請求を会社に行うことを検討されている方は、ぜひ、弁護士法人心 大阪法律事務所までご相談ください。
勤務中などに事故が発生したら、会社へ労災事故が発生したことをすぐに報告し、①労災事故が発生した場所、②日時、③発生した状況、④負傷内容などを伝えましょう。
労災事故でケガをしたらすぐに病院を受診しましょう。
ケガをしてから病院を受診するまでの期間が空いてしまうと労災事故でケガをしたと認められないことがあります。
また、労災事故の治療には、健康保険は利用できないため、病院へは労災事故でケガを負ったことを必ず伝えましょう。
労災事故で治療や休業を要した場合、労災保険から療養(補償)給付や休業(補償)給付を受けられます。
療養(補償)給付の申請を行えば、指定労災病院での治療費は、労災保険が、直接病院へ支払ってくれるため、被災労働者は窓口負担なく治療を受けられます。
休業(補償)給付の申請を行えば、ケガの療養のために会社を休んだことで、支払いを受けられなかった賃金について、休業4日目以降について、給付基礎日額の6割を休業した日数分支給を受けられます。
加えて、休業1日につき、給付基礎日額の2割の特別支給金の支給を受けられます。
療養(補償)給付や休業(補償)給付の請求に必要な書類は、厚生労働省のホームページから入手することもできますが、勤務先で書類を準備してくれることも多いです。
労災事故でケガをし、治療を受けたものの完治せず後遺障害が残ってしまうことがあります。
治療により症状が改善しない状態(いわゆる症状固定)に至ると療養(補償)給付は支給されなくなりますが、残った症状について、障害(補償)給付の請求を行い労災保険において後遺障害等級が認定されれば、障害(補償)給付の支給を受けることができます。
ケガが完治しないまま、症状固定に至ったときは、病院に後遺障害診断書を作成してもらい障害(補償)給付の手続きをとりましょう。
仕事中に第三者や勤務先の落ち度によりケガをした場合、民事上の損害賠償請求などを行うことで慰謝料などの支払いを勤務先などから受けることができます。
第三者や勤務先に損害賠償請求などを検討される場合は、弁護士に相談してみましょう。
労災の相談には、「勤務先が労災と認めてくれない」、「労働基準監督署に労災と認定してもらえなかった」、「会社が損害賠償請求を認めない」といった様々な段階での様々な内容の相談があります。
以下では、一般的な労災の発生から解決までの流れを見て行きたいと思います。
労災発生から事件解決までの大まかな流れは、①労災の発生、② 労働基準監督署へ労災保険給付申請(休業(補償)給付,療養(補償)給付、遺族(補償)給付、後遺障害が残ったときは障害(補償)給付等)、③労災発生について会社に安全配慮義務違反などがある場合は会社への賠償請求、④事件解決との流れとなります。
①と②の段階では、会社の労災隠しなどが問題となることや労働基準監督署で労災と認められないといったことが問題となることが多く、③の段階では会社側の安全配慮義務違反の有無や労働者側の過失の有無や程度が問題となることが多いです。
なお、「会社が労災と認めない」「会社が労働基準監督署に事実と異なる労災発生状況を報告している」などといった労災隠しが疑われる場合は、まずは早期に労働基準監督署に相談・報告を行いましょう。
労災解決には、労働基準監督署で労災認定を得て、労災保険から保険金の支給を受ければ足りるケースもあれば、会社に対し、会社の安全配慮義務違反などを主張し慰謝料などの賠償請求などを行う必要があるケースもあります。
また、労災であるか否かといったこと自体から争わなければならないケースもあります。
そのため、労災に遭い、会社への損害賠償請求等を検討されている方は、一度弁護士にご相談いただくことをおすすめしています。
弁護士法人心大阪法律事務所は、労災に関する相談は、原則無料で受け付けておりますので、会社への賠償請求などを検討されている方などはお気軽にご相談ください。
労災保険には、①傷病(補償)年金、②障害(補償)年金、③遺族(補償)年金という3種類の年金が制度として設けられています。
なお、上記年金の名称に「補償」をつけるのは通勤災害に対する年金のときであり、業務災害に対する年金のときには「補償」はつきません。
以下では、各年金について見て行きたいと思います。
通勤災害又は業務災害により怪我等を負い、治療を開始してから1年半経過したものの怪我等が治っておらず(症状固定に至っておらず)、その日又はその日以降に受給要件(傷病等級第1級~第3級に該当する)を満たしている場合に労災保険から支給される年金です。
通勤災害又は業務災害により怪我等を負い、治療を受けたものの症状が残ったまま症状固定に至り、身体に一定の障がいが残った場合に、労災保険からその障がいの程度に応じて支給される年金です。
障害の程度によっては、一時金として支払われます。
通勤災害や業務災害により、亡くなった労働者の遺族に対して労災保険から支給される年金です。
遺族(補償)年金は、亡くなった労働者の方に扶養されていた一定範囲のご遺族の方に支給されます。
労働者の方は、通勤災害や業務災害に遭った場合、上記年金以外にも治療費や休業損害の一部について労災保険から支給を受けることができます。
ただ、労災保険から労働者の方が被った損害のすべてについて支給を受けられるわけではなく、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などの補償を労災保険は受けることはできません。
労働者の方は、労災保険からの支給だけでは不足する部分について、会社や事故の相手方に対し、賠償を求めることができるケースがあります。
通勤災害又は業務災害により、損害を被り、慰謝料などの賠償請求を検討されている方は、ぜひ、弁護士法人心 大阪法律事務所までご相談ください。
通勤中や業務中に発生した怪我や病気などについて治療などを要した場合は、労働者が強制加入している「労働災害保険(労災保険)」から治療費や休業損害の一部などが補償されます。
労災保険からは、以下のような補償を受けることができます。
労災保険からは治療費の補償を受けることができます。
労災保険からは、療養中の休業4日目から給付基礎日額の60%×休業日数分の休業(補償)給付が支給されます。
休業(補償)給付のほかに休業特別支給金が給付基礎日額の20%×休業日数分が支払われます。
労災保険からは、通院中や業務中に発生した怪我などにより、後遺障害が残った場合、一定額の年金または一時金が支給されます。
労災保険からは、通院中や業務中に発生した怪我などにより、労働者が死亡した場合、遺族には原則として遺族(補償)年金が支給されます。
遺族(補償)給付の他にも、葬祭料、傷病補償年金、介護補償給付などが支給されます。
労災保険から補償を受けるための主な手続きの流れは、①会社に労働災害が発生したことを報告する、②各申請書を記入し、会社に提出し、労働災害であることを証明してもらい労働基準監督署に提出する、③労働基準監督署から保険給付がなされるとの流れになります。
請求する給付の種類や通勤災害か業務災害かなどにより申請書の種類や手続きの詳細は異なるため、その都度手続きを確認して手続きを行う必要があります。
ただ、通常は、労災保険の給付申請などは、会社が手続きを行うことが多いため、労働者自身で申請手続きなどをすることは少ないです。
会社に労災保険への手続きを依頼したとき、会社が労働災害であることを認めず、労災保険への申請手続きを代行してくれない場合もあります。
また、労災災害の発生態様について争いがあるような場合は、会社が自己に都合のよいように事故発生時の状況等を労働基準監督署に報告してしまうことがあります。
お困りのことがあれば、弁護士法人心 大阪法律事務所までお気軽にご相談ください。
業務に起因するケガ等については、申請により労災保険から補償を受けることができます。
また、会社側が安全配慮義務を怠っていた場合には、会社に対して損害賠償を請求することができる場合もあります。
しかし、労災が認定されると会社にとって不利になる場合があることから、会社側が労災であることを認めようとせず、トラブルとなることもあります。
労災保険の給付申請は会社が手続きをすることが多いですが、場合によっては会社が手続きをしてくれず、自分で申請しなくてはいけなくなる可能性もあります。
損害賠償を請求する場合も、ご自身のケガ等の治療をしながら、会社に対して交渉するのは大きな負担となることと思います。
そのようなときは一度弁護士にご相談ください。
弁護士にご依頼いただくことで、労災に関する手続きや交渉を被害者の方の代わりに行いますので、負担を大きく減らすことができるかと思います。
労災の手続きは補償の種類によって変わりますし、会社との交渉等で専門的な知識が必要になる場合もあります。
弁護士法人心では、「労災チーム」を作り、労災に関する案件はそのチームの弁護士が対応しています。
労災の案件を集中的に行うことでより知識や経験が蓄積され、依頼者の方にとってより良い解決策をご提案することができると考えています。
労災は突然起こるものですし、ご自身でなく家族が労災に遭う可能性もあります。
普段、労災について深く考えることはないという方がほとんどだと思いますので、いざ手続きをしようと思っても分からないことが多くあるのではないかと思います。
労災について少しでも不安なことがありましたら、弁護士法人心 大阪法律事務所までお気軽にご相談ください。
労災問題を得意とする弁護士が、より良い結果となるよう尽力いたします。